
ついに完結した『みいちゃんと山田さん』。
1巻の1ページ目で告げられた「みいちゃんの死」。その真相が、この最終巻で明かされる。
1〜6巻のネタバレ・感想はこちら。
【死ぬまでの12か月】『みいちゃんと山田さん』1巻 ネタバレ・画バレ含む考察と感想
【出生の秘密】『みいちゃんと山田さん』2巻 ネタバレ・画バレ含む考察と感想
【歪んだ初恋】『みいちゃんと山田さん』3巻 ネタバレ・画バレ含む考察と感想
【最初で最後の夏休み】『みいちゃんと山田さん』4巻 ネタバレ・画バレ含む考察と感想
【ふたり暮らし】『みいちゃんと山田さん』5巻 ネタバレ・画バレ含む考察と感想
【現実が見えてきた】『みいちゃんと山田さん』6巻 ネタバレ・画バレ含む考察と感想
で、7巻。最終巻。
みいちゃんは、誰に、どうして……
1巻からずっと抱えてきたこの問いに、ついに答えが出る。
この記事では、みいちゃんの死の真相と結末まで触れているので、まだ読んでいない人は注意してね。
今回もそんな『みいちゃんと山田さん』7巻の見どころを、ネタバレ・画バレを含めて紹介していく。
いつも通り、セリフを一言一句文字に起こすようなネタバレ記事ではないのでご了承を。
見どころをいくつかピックアップする形でまとめていく。
『みいちゃんと山田さん』第7巻の基本情報

みいちゃんに部屋をめちゃくちゃにされ、山田さんはついに、引き裂かれるような衝動のままに手を上げてしまう。大切なはずなのに、傷つけ合う。お互いをこれ以上壊さないため、二人は同棲を解消した。新幹線に揺られ、みいちゃんは独り、故郷・宮城へと帰るが、母親と祖母が住む家は、ゴミ屋敷へと変わり果てていた。山田さんも、逃げ帰った実家で、ついに「漫画」を描き始めるが、母親の歪んだ呪縛と、“自分”に息を詰まらせる。離れ離れの場所で、それぞれが直面する“現実”。生きるという致命傷、生きたあなたの残照―――。ばいばい、みいちゃん。
7巻で完結。
巻末には、夜の世界で出会った女の子のその後を描いた短い描き下ろしも収録されている。
『みいちゃんと山田さん』7巻
ネタバレ・画バレ含む考察と感想
7巻の個人的な見どころは以下のような感じだった。
宮城に帰ったみいちゃんを待っていたもの

6巻のラストで、新幹線に乗って故郷の宮城へ帰ったみいちゃん。
でも、待っていたのはゴミ屋敷になった実家だった。

おばあちゃんはお酒に溺れ、お母さんはますます子どものようになっていて、みいちゃんは家でこき使われる。
帰る場所ですらなかった……
都市伝説のようにヤバい人物として認知されている「みいちゃん」なので、当然働くところは全然ない。

そんなときに知ったのがムウちゃんがいる作業所(農場)。

自分よりも劣っていると思っていたムウちゃんが写真付きで褒められていることに焦り・嫉妬を感じたみいちゃんだが、当然ここでもうまくいかない。

農場の人の口から出てくるのが、「ちょうどいい障害者」という言葉。
支援の手が届くのは、手を差し伸べやすい人だけ。
みいちゃんのように扱いにくい人は、福祉の場からもこぼれ落ちてしまう。
1巻からずっと「支援につながっていれば」と思いながら読んできたけど、最終巻でその前提ごと崩される感じがした。
山田さんが気づいた「ママと同じ」

一方の山田さんは、実家に戻って漫画を描き始める。
そこで山田さんは、母親が自分の就活の計画書を壁に貼っていたことと、自分がみいちゃんのために家のルールを壁に貼っていたことが、本質的には同じだったと気づく。

人に目標を課して、管理する。
それは気持ちがよくて、何かをしている気になれる。

「ママと同じだ」
さらに、山田さんの母親の思いも描かれる。

自分が親からもらえなかったものを、娘にはすべてあげたい。最高の教育を、いい学校を、いい会社を。山田さんの母親は自分がコンプレックス(学歴など)で不自由・不満のある人生を送ってきた分、より一層 娘に対して思う気持ちが強くなってしまったんだろう。
山田さんの母親がリアルすぎる
親なら誰でも思うことだよね
愛情と支配は、本当に紙一重なんだと思う。
山田さんの母親はどうするのが良かったんだろうね。
みいちゃんの死の真相

ついにその日が来る。
行き場をなくしたみいちゃんに近づいてきたのは、地元の不良たち。

薬物を渡され、暴行を受け、その最中の事故で、みいちゃんは命を落とす。
……。
正直、この展開には「唐突」「雑」という批判がかなり多かった。犯人探しを楽しんでいた読者からすると、ムウちゃんのお母さんでも、マオくんでも、山田さんでもなく、「考えなしの人たちの、考えなしの行動」で終わってしまうのは、拍子抜けだったのかもしれない。

でも、それこそがこの作品なりのリアルなんだと思う。
みいちゃんの死には、ドラマチックな理由も、決定的な悪役もいない。誰にも気にかけられないまま、あっけなく失われていく。
どうしようもない結末
そして、最後にみいちゃんのもとに現れたのは、お母さんだった。

お母さんの背中で、みいちゃんは「ママの宝物」という言葉を聞く。

6巻で、みいちゃんは「宝物を集めるために生きてる」と言っていた。
ただ本当は、そのみいちゃん自身が、ずっと誰かの宝物になりたかったんだと思う。ほめられたい、認められたいというのがみいちゃんの強烈な願望だったしね。
ただ、この後の展開がまたエグい。
ほんのり曖昧エンドではなく、最悪な形になるのがスゴイ。

どうしていいかわからなかったお母さんは、みいちゃんを埋めてしまい、みいちゃんを殺したのは母親だということにされてしまう。本当の加害者たちは、ほとんど裁かれないまま。

「本当のことを説明できない人」が、そのまま罪を背負わされていく。自己保身しか考えられない母親だから、どうしようもない結末に至ってしまう。ここも、この作品らしい救いのなさだった。
「みいちゃんと山田さん」というタイトルの意味

7巻で明かされる最大の仕掛けがここ。

母親の期待に応えられなかった娘、という意味で、ふたりは最初から同じだった。
タイトルそのものが伏線、というパターン。
6巻で空白だった、新幹線のホームでの山田さんのセリフも、ここで回収される。
『みいちゃんと山田さん』
7巻(最終巻)の考察と感想
ふたりのみいちゃんの物語
それが、最終巻まで読んだ正直な感想だった。
1巻を読み始めたときは、「ちょっと足りない女の子」が夜の街で搾取されていく話だと思っていた。
でも最後まで読むと、これは母親に愛されたくて、期待に応えたくて、それでもうまく生きられなかった「ふたりの娘」の物語だったんだと思う。
みいちゃんは「教育を放棄された」子で、山田さんは「教育を押しつけられた」子。方向は真逆でも、行き着いた場所は同じだった。
一方で、最終巻の展開に納得できなかった人の気持ちもわかる。

犯人探しのミステリーとして読んでいた人にとっては、結末はあまりにもあっけなかったと思うし、加害者たちがほとんど裁かれないこと、山田さんの最期が唐突(ギャグに捉えられても仕方ないくらい急)なことにモヤモヤする人も多いはず。正直なところ、終わり方はかなり雑な方だと思う。
それでも個人的には、「救い」を安易に用意しなかったことに、この作品の誠実さを感じた。

みいちゃんの死に意味なんてない。それでも、ふたりが過ごした宝物みたいな日々は、短いながらもたしかにそこにあった。

1巻の記事で「万人に気軽におすすめできる作品ではない」と書いたけど、最終巻まで読んでもその気持ちは変わらない。
でも、読んでよかったと思える人がいる作品であることも、やっぱり間違いない。
是非、本編でしっかりと最後まで読んでみてね。
それでは。


